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2004・2・21記載
Maki Takahashi
冬の雄国沼
...「この沼の青が、いちばんきれいだと思うんですよ」
カメラを構えた人がうれしそうに言う。
「ああ、これが、お花畑なのね!」
湿原を埋めつくす黄色い花の群れを見ながら、喜ぶ人がいる。
夏の雄国沼。大勢の人たちがここを愛している。
*
私がはじめて行ったのは、16年前。
ニッコウキスゲが姿を消した後の夏だった。
雄子沢からブナ林をゆっくり登る。カルデラの中に入ったとたん、一転して明るくなる風景。なだらかな外輪山にかこまれて、沼と湿原がのびやかに広がっていた。
それから、季節を変えて何度も登った。初夏のレンゲツツジ、それに続くニッコウキスゲのじゅうたん。草紅葉と秋空を写す沼の青。いつの時も、雄国沼はすてきだった。
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もう10年くらいになるのかー。
大きなザックに寝袋やコッヘルを入れて、猫魔スキー場を越えて、テレマークスキーで滑り下りたのは(友人はそうですが、私は転げ落ちたが正確です)。休憩舎はまだコンクリート2階建て時代で、2月末の寒さをしのぐために、わざわざ2階の狭いスペースに、8人で寝た。友人の寝袋の下敷きになって寝られなかったこと。ホットミルクにラム酒を入れて飲むのは、なんておいしいんだ。私達以外、誰もいない。白一色の雄国沼の静けさ。
あの楽しさは、今も輝き続けている。
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あれからずっと、冬の雄国沼を、私は愛している。
写真と文 高橋 真希
( 森のねえちゃんプロガイドとして小さな体で野山に出没中。)
写真協力 山内晴也
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