山は剛毅だ。大きさと激しさを併せ持ち、時には神と崇められたりもする。それだけに恵みが豊かなのも山の一面である。
「会津磐梯山は〜宝の♪コリャ山よ〜」
と、唄に歌われた磐梯山に宝は数多く有るが、「新緑に芽吹く山菜ほど山の[ちから]を内に秘めた宝は有り得ない!」と食いしん坊達は強く思っている。そうして、「山が呼んでいる・・・」等と呟いては木立の中へ消えて行くのだ。勿論、抱えきれない程の山菜を持ち帰り、夕餉の食卓が賑わう事は言うまでもない。天麩羅、お浸し、炒め物、全てを大皿いっぱいに盛り上げて片っ端から胃袋に放り込む「大自然謳歌流」も捨てがたいが、今日は腹よりも心を満たす趣向(酒肴?)と洒落こんでみた。「やっと訪れた早春の息吹をじっくりと味わいたかった。」と、云うよりは「酒を呑みたかった。」だけかも知れない。
☆ ☆ ☆
吾妻山・先達窯の方皿を取り出してみた。残雪のイメージである。ここに春を盛り付けていく事になる。それぞれの山菜の持ち味と採れた山の情景を思い浮かべながら調理法を模索する。そうそう、合わせる酒との相性も考えなくてはならない。雪解けの伏流水を感じさせる酒!それも冷やがいい。
さあ、宴の準備は出来た。躍動の時を迎えた大自然に乾杯しながら、磐梯の春を喰らうとしよう。 写真・文 木村郁夫 (裏磐梯の文豪・・・でなく酒豪)
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新緑に雲立ちぬ |
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蕗味噌と土筆カレー風味 |
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コゴミお浸しとワサビ醤油 |
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たらの芽
切り和え焼きと残雪揚げ |
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メインディッシュ |



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