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2001・12・26記載
Yasuo Inoue
頭がミソサザイ
いつもの田んぼが、一面とてつもなく白い大きなふとんに覆われたようだ。
この上をスノーシューを履いて犬と散歩をする。誰もこない。誰も近づけない。スノーシューの威力だ。
いつもの林の縁に行ったとき、雪で半分隠れた水路から、あわてて飛び立つ茶色の小さな鳥。「チャッ!チャッ!チャッ!」ミソサザイだ。いったん林の中に隠れるが、息をひそめてしゃがんでいると、すぐそばの杉の木に現れ何か言っている。
愛読しているインディアン少年の物語「リトル・トリー」の中で、ミソサザイの事が書いてあったっけ。
「ミソサザイが小屋に住みついたら,それは幸運が訪れるしるしだ。」
「ミソサザイは自分に好意を持っている人間のそばにいるのが好きだ。」と。
そういえば何年か前に,喜多方の山の斜面に張りついたような小さな集落に行った時、一人住まいのおばあさんの家を訪ねたことがある。晩秋のことだ。こたつに入り、お茶をご馳走になっていると,ブルブルブルと羽音とともにこの鳥が家の中に入ってきた。驚いて見ていると、おばあさんは笑いながら、いっしょに暮らしている。というようなことを話してくれた。達者にしているだろうか・・・。
傾いているようなあの古い民家とともにお変わりないことを、心から願った。
ミソサザイは木を移りながら私のそばをまだ離れないでいた。
LOVE &PEACE
ミソサザイ : 日本では一種のみ繁殖。
渓流沿いの低木林でよく見る。
写真・絵・文 井上 康夫
( 通称「やっちゃん」。ブナブナと唱える自称ブナブナ教の教祖。)
1 冬の磐梯山と田んぼ |
2 スノーシュー。愛犬の足跡 |
3 雪の山里 |
4 山里のおばあさん
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5 ミソサザイ
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