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2001・6・18記載
Ikuo Kimura
謎の樹
裏磐梯・小野川湖の北岸に新しい遊歩道が出来た。簗部沢から不動滝まで総延長6・1kmの「小野川湖探勝路」である。
ここは、50年程前までトロッコ列車が走った軌道敷だった。そしてその後は熊の通り道となっていた。今再び、人間様に通行権が回復したのだが、この道は実に見晴らしが悪い。湖の岸に沿って歩いているのに肝心の湖が見えないのである。唯一、不動滝入り口より1・5km付近だけ眺望が開けて、小野川湖の一部と磐梯山を見る事が出来る。
これだけでは詐欺に等しいと思いきや、やや左に移した視界に飛び込んでくる「謎の樹」がある。
それは、小野川湖の入り江へと向かう尾根の途中に、すばらしい存在感を放ちながら枝を広げている。ただ、「何の樹」なのかは誰も知らない。
地元の専門家たちも首を傾けている。「シナノキ?」「ムクノキ?」「それとも?」老成化した樹のため、種固有の特徴がつかみがたい。
昔、官工事業の伐採に携わった老人も「切った樹イ下ろすロープを掛げんのに2本だげ樹イ残してなア、上のはブナだったが、下の見事な枝ぶりであったのはア、シナノキと、呼んでいたが如何であったものか?」と定かではない。
誰もが「気になる樹」な、だけにしばらくは論議が続きそうである。
写真・文 木村郁夫 ( 裏磐梯の文豪・・・でなく酒豪・・・)
1 謎の幹 この樹を住処にしているリスがいるらしい・・・ |
2 謎の木肌 前衛芸術か?下手な左官屋の壁塗りか?・・・ |
3 謎の葉 透明感のある葉が重厚な幹との対比で美しい |
4 謎の枝ぶり ・・・緑の炎が立ち上るようだ
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5 初夏に佇む 湖を見下ろす特等席から113年前の噴火を・・・ |
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