晩秋のころの冷えた朝、田んぼに張った薄氷を割り遊びながら登校、寒い中にもこんな楽しみがあった。
休憩舎に着いた、当たり前だがだ〜れもいない、目の前には雄国沼が秋の日差にキラキラ光っている。
実に綺麗だ、ここで一息いれて次の行程を考えた、湿原に行っても何にもないな、ならば雄国岳に行ってみようか。
そこで昼食べてから考えよう、その前にバナナを一本、みかんを一個、あとは頂上でのお楽しみ。
雄国岳の尾根に向かう途中でやっと一組にすれ違った、「こんにちは〜」「眺めがとってもきれいだったよ〜」 「今日は最高の登山日和だね」、短い挨拶の言葉の中にも高揚感があった。
さて頂上、展望台に登る、空は限りなく青く、東にまるで産毛に覆われたような猫魔岳や磐梯山が見え、西には白く輝く飯豊山が会津盆地を見下ろしている。 カラスが一羽飛んでいる、旋回したときキラっと反射した、カラスもこうしてみると案外きれいだ。 ちょうど正午だ、昼食にする。 風は冷たいが暖かいカップ麺は何より体が温まる、しまった!あわただしい支度でオデンを忘れた!!(泣) などと言っているうちにエネルギー充填も終わり、帰りの行程はと・・・ええい!ラビスパに下りよう、車は雄子沢口にあるけど・・・。 まぁ何とかなるさ〜。
そういえばこのコースを下るのは初めてだ。頂上からの下りは白い道が出来上がっている、薄雪に覆われて歩くたびサクサクと音がする。 雪が積もればグッツ・グッツ・と粉雪を踏みしめる音に変わるだろう、鳴き砂ならぬ鳴き雪かも。 ズル!ズデン!!いててて!!!いきなりの転倒だ、良く見れば道の真ん中に岩が顔を出していた、不覚にも気がつかなかった。 事故、ケガは下山時に・・・いつも引率してるときは口やかましく注意しているのに・・・転倒した。怪我しなかったから良かったものの、 もしそうなったら洒落にならない。
だんだんと高度が下がってくるにしたがい、暖かくなってくるのが感じられる、林の中ではまたしても落ち葉を敷き詰めた絨毯の道だ。 心地よい柔らかな道が出来上がっていた。 日が高いといえども刺すような盛夏の光とは大違い、晩秋の日差しは柔らかい、そして木々の陰も長く伸びている。 初冬の山々はこれから厳しい冬を迎えようとしているが、その直前にこんな穏やかな一面もあるということを知った一日であった。
写真と文 奥田 信一 ( やっぱり怪しい探検隊員こと町のクマさん。)
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