2006・5・ 5 記載
Ritsuko Yanagihara
「帰りたいけど 帰れない」
猪苗代の桜はまだかな、と心待ちしているところです。
連休やらお花見やらで、ウキウキ気分の中
湖面のきらきら輝いてるのを見に、某浜に行きました。
そしたら、白鳥が20羽ほどくつろいでるではありませんか。
白鳥がいるとは思ってもみませんでした。
とうにシベリアへ帰ったものと。
北の国では家族が待っているんじゃないのかい?
思いがけない出会いに車からおりてみました。すると
白鳥たちがこちらをふり向き、見つめるのです。
♪だるまさんがころんだっ!で、一旦停止状態です。
「おっとっと、こわいなぁ。突っつかないでね」 そのトタン私の方は、一歩後退。
じぃっと様子を伺うと、優しい可愛い顔してるんですよねぇ。
うちのアヒルのしぐさと似ていて、親近感がわいてきました。
パンをちぎってやると、近寄ってきました。
皆に行き渡るようにまんべんなくちぎってやりました。
飛びついて来るわけでもなく、しずしずと歩みよりパクリと食べる子、
パンにありつけなかった子は、奪い取るわけでもなく、あっさりあきらめの様子。「コー!コー!」とささやきながら、 時には、じゃれ合って、くちばしでそっとはさんだりすることも、ほほえましく眺めていました。
ここは、極上のくつろぎのスペースなんでしょうか、時間がゆっくり穏やかに流れていくかのようです。
しゃがんで、しばらく見てたら、白鳥の可愛い顔が目の前まで来て、目線より高かったので 白鳥って大きいんだな、と実感しました。
ふと見ると、何と、羽が傷ついてるのです。
「いったい、どうしたんだろう?」
「犬に襲われたんだろうか?」
手羽先がむしりとられたような、痛々しい跡があるのです。
痛がる様子もなく、不自由そうでもなく、のんびりとしたほのぼの感があります。が・・・
気になるのが傷のこと。
白鳥おじさんの鬼多見賢さんにお聞きしました。
原因は、間接的な人為的被害。
空中の電線に引っかかったり、不用意な餌付けのために飛行中いろいろな障害物 にぶつかったり、また、放された犬に襲われたりするそうです。
暮らしていけるのか?
大丈夫!猪苗代湖は夏でも気温(水温)が高くならないし、餌にも困らない。
阿武隈川などとは違って、この湖には、葦などの隠れ場所があり、
草や根っこなど食べていられる、との事です。
生ある限り、ここで暮らしていけるんだよ!とおじさんは断言しました。
あ〜良かった、良かった。胸をなでおろしました。
もし飛べたら、本当は帰りたいんでしょうけどねぇ。
参考文献 「白い恋人たち」 鬼多見 賢 (自費出版 平成 8年)