Eco Guide Vol 13 Photo Photo Photo Photo
2006・3・ 21記載
Shinichi Okuda

低山紀行


 ある日のこと、必要に迫られて身分証用の写真を撮りに行ったら、「そろそろ書いて」とY氏がさりげなく言う。
「最近出かけてねぇがんなぁ、どうすっがな」などと言ってはみたものの書きたい場所に心当たりないわけではなかった。
「そんじゃ、今回は低山紀行にすっかし」、「そんじいいがら」とY氏の一言で決定。

閑話休題

 12月から1月のあの大雪は平成18年豪雪と命名された。しかしそれ以降に雪らしい雪が降らず、暖かな春の日差しのもと標高600M程度の里山を訪れてみた。
足元の雪が「ザッ・ザッ」とザラメ状の雪を踏みしめて登りはじめた。
数十メートル進んでは歩みを止め、あたりの音に耳をそばだててみる。小鳥の声が聞こえるのみ。
以前この場所でカモシカが急斜面を下りてきたのを目撃した場所でもある。
全体が雪に覆われてはいるものの道筋ははっきりと見えている。春ならばここにアレがあったな、秋ならばキノコが生えていたな、などど思い巡らせながら進んでいく。

 それにしても最近言葉が出てこなくなった。「俺もだ・・ウンウン」なんて頷く方もいるはず。体は正直デス、年々衰えを感じませんか?(笑)
曰く「アレだよアレ・・。」とか「アで始まる花なんだけど」「そうだ、アレあれ」などあげれば数しれず、でも知っている同士だとそれでも通じるから不思議だ。

 どうせなら道から外れて行こうか、いまならどこでも歩けるから。行程の1/3も来ただろうか、前方になにか変なものが見えた。
近づくにつれその正体がわかった。頭から脊椎がのび腰あたりだろうか、動物の骨が転がっていた。
よく見てみるとそれ以外は落ちてない、どこかから運ばれてきたのだろう、そしてそばにフンが落ちていた。
あとから専門家のI氏に聞いてみよう、と思い写真を撮りその場から離れた。しかしこのことでもう一度ここにくることになるなんてその時は思いもしなかった。
やがて光と影の織り成す斜面を登りきり頂上についた。想像はしていたけど木立にかこまれ眺望は効かない。
木々の隙間から安達太良の山頂が見えるのみ、ちょっと残念。
ここでちょっくら一服、またしても耳を澄ます。「ざらぁ・ザラァ・・」と言う音が聞こえてくる。ムム何かいるのか?一瞬身構えて音がする方向に視線を向ける、しかし何ものも見えない、現れない。
枝に張り付いた雪が折からの日差しで落ちている、正体見たり枯れススキだった。

 この里山には動物たちの足跡が数多く残されていた。人が入り込まないからだろうか。
それでいて決して荒れているわけでもない。きっと今も部落の人たちが守っているからかも知れない。
山は手入れをする人が少なくなり荒れてきていると言われている現在、ここは貴重な場所になりつつある。
だからあえて土地の名は伏せておく。

後日談
I氏に発見した骨について連絡してみた。「回収してきましたか?」と言う、「いや、してねぇけど」
「写真だけでは判断つきかねますね」、「う〜ん、じゃ採ってくっから」で小雨降る中再度回収に・・・

写真と文  奥田 信一
( やっぱり怪しい探検隊員こと町のクマさん。)

木立の光と影
ネコヤナギ
足跡
動物の骨
サンショウウオの卵
Photo
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