Cameratchi News Vol 3 Photo Photo Photo Photo
2005・1・ 5 記載
Seiya Yamauchi

ソネ・タローに会いに行く

が降ると会いに行きたくなる。 

昨年、友人たちと残雪を踏みしめ、スキー、スノーシュー、和カンジキなど、思い思いのスタイルであのブナの巨樹に会いに行って、もう1年近く経っている。

思えばあれは20014月だっただろうか、高曽根山をスキーで歩きまわり、数年の間いろいろなルートを開拓してはひとりで、ときには友人と楽しんでいた。登山道のない山は冬季ならば豊富な積雪におおわれ、どこからでもアプローチ可能な広大なゲレンデに生まれ変わる。そこは野ウサギやカモシカなど動物たちの自由なフィールドでもあり、カタ雪にサラッと降った新雪の朝には彼らの無数の足跡とともに実際に出会うことも多い。

そんなある日、ひとり山頂からの帰途だった。スキーで滑降中に前方に大きな木があるのが見えてきた。どんどん近づくにつれ、それは見上げる感じになり、さらに見たこともない巨大な幹まわりのブナの巨樹となって目の前に現れた。

このブナの巨樹のことは翌春、観察して頂いた植物学者S先生の記事になって地元誌に大きく掲載され、その後の過剰報道が心配されたが、今のところ杞憂に終わっている。グリーン・シーズンはヤブ山のために容易には近づけず、冬のツアールートとして、ごく一部の関係者が毎年楽しみで会いに行くに止まっている。とりあえずホッとしたところで、このページに記録として残しておこうと思った。

先生には父の代から何かとお世話になっていたし、人一倍達者な人だっただけに、一昨年突然の訃報に驚いてしまった。今頃はおそらくあの人懐っこい笑顔で天国の植物の研究をされていることだろう。

さて、いつからか「ソネ・タロー」となった巨樹に会いに、またいかなくては。そしてまた、未知の自然のなかを歩くのは一歩一歩が五感を刺激する出会いであり、楽しみは尽きなくてヤメランナイ!のです。


写真と文 山内晴也 
( ギャラリーのムジナもたまにお山へ帰る)



高曽根山の出会いの日
春 5月調査、観察に
ソネ・タローに会いに。春
ソネ・タローに会いに。冬
在りし日のS先生とのショット
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