2002年夏、裏磐梯の或る湖に生息するザリガニが「巨大ザリガニ出現!」等の怪しげなタイトルで幾度かマスコミに取り上げられ、相次ぐ問い合わせが村内の観光窓口を多忙にした。
このザリガニの名前を「ウチダザリガニ」と、云う。戦前、日本人の蛋白質供給を目的としてアメリカ・オレゴン州より運ばれ、北海道の摩周湖に放流された冷水系大型種である。現在では阿寒湖や釧路川流域に大量繁殖し、在来種ニホンザリガニ他の生態系に異常をきたすと危惧されている。 では、何故、ウチダザリガニが裏磐梯に存在するのか? 如何に北海道と気候が似ているからといってザリガニは自ら引越ししては来まい。「ブラックバスの餌用に放流されたらしい。」という噂が聞こえてきた。成程、バスの好物は川海老である。ザリガニの幼体や脱皮直後の柔皮体なら格好の餌食となるであろう。Wの生態系破壊であり、「恥の上塗り劇」の完成という事になる。
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地元テレビ局の依頼を請けて、ウチダザリガニの料理を試みた。海水に棲むロブスターとは直系なので抜群の美味さであった。身はプリプリ感のあるシャコに似て、大きな蟹爪はワタリガニよりも甘く、蟹味噌は濃厚且つ味の切れが良い・・・! 裏磐梯を代表する味覚として充分に通用するものである。「さて、乱獲するべきか?せざるべきか?」
人間の勝手な都合で利用されたウチダザリガニの真価と、其れに対する地元住民の判断が今、問われている。
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最近、夜な夜な夢にうなされる事が多い。料理した数十尾のウチダザリガニ達が「巨大ザリガニ」となって逆襲して来るのである!!
写真・文 木村郁夫 (裏磐梯の文豪・・・でなく酒豪)
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湖面 |
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子持ちザリガニ |
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ザリガニの塩焼き |
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ザリガニのガトー仕立て |
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ザリガニの逆襲 |
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