2005・8・ 5記載
Shinichi Okuda
定点観察とはのぞき見と同義語かな?
さて、定点観察とは対象を間違えると今流行りの言葉で言えば盗撮かも、古くは「デバガメ」といっても通じないか、いまは死語だろうな。
とういわけで今回は夏鳥のなかでも比較的観察に好都合な「ツバメ」のデバガメウォッチレポートである。
某月某日
5月下旬から仕事場の近くの蛍光灯にツバメが盛んに泥をつけるようになったことが気にかかっていた。しかし何度つけても泥はガラスに着かず下に落ちるばかり、ガラスだから無駄だよ・・と何度声をかけたかわからないが残念ながら通じない、当たり前か!
某月某日
そんなこんなでちょっと見ないでいたら、いつの間にか蛍光灯の傘の部分に巣の基礎が出来上がっていた。上手に泥を積み上げてる、また草も混じっている、手を使うわけでもなくクチバシで運ぶ量なんてたかが知れてる、
にもかかわらずできていること自体、気が遠くなりそうな回数であることに変わりはない。たいしたもんだね〜、と眺めつつしばし感心。
某月某日
住居完成、すでに卵を生んでいるようだ、親が交代して抱卵している。見上げていると親と目があった、にらまれた・・・。隙をみて中をのぞいてみたら、小さな卵を3ヶ確認した、しかし・・・
某月某日
親が頻繁に出入りしている、時に白いものを咥えて飛んでいく、はて?と思っていたらどうやら孵化したのかもしれない。のぞくことができればいいのだが、今はじっとしていよう。
ここでチョッカイだして放棄されたら大切な命が絶たれてしまう、いまは我慢しよう。
某月某日
ついに雛を確認、さて親は忙しくなってきた、ひっきりなしに交代でエサを与えている。小さな黄色いクチバシが見えた!、ひとつ・ふたつ・みっつ・・ん!?よっつある、四羽だった。
夜は雛を覆うように抱いている、まだ、羽毛がないのできっと寒いだろうね。
某月某日
巣の下に新聞紙をしいておいたら、ペタペタと爆弾の跡が多くなってきている、狭い巣の中で排泄はせずお尻を外に向け爆撃しているのを確認、ちょうど親が来ている時に排泄しようとすると、その爆弾を親が阿吽の呼吸宜しく咥えてよそにもって行く、どうやらフンは薄い膜に覆われ袋状になってることが判明!。
某月某日
虫だけ食べているのに大きく成長している、狭い巣の中で押し合いへし合い状態で、まるでラッシュアワーのE電(死語だね)なみ、向きを変えるとそのままの状態で動けなくなる、落ちないでくれよ!と祈った。
夕方暗くなってからやっと親は骨休めしている、「ドッコイショ!あぁ〜つかれた。」などと言ってるようなことが感じられる。
某月某日
雌雄の区別ができないがとりあえず名前をつけた、外側から太郎、次郎、内側の三郎、壁際の花子。どうも太郎が一番エサにありついてるようだが、まぁ順調に育っているようだ。また、産毛が強い風に飛んでいくのが見えた、だんだんと羽根が生え変わり親と同じ色になってる。
某月某日
雛は盛んに動き回っている、巣立ちの準備を始めているようだ、巣の外側に出て羽ばたきをしているが、まだ十分に羽根をコントロールできないのか、落ちそうになって大慌てしているのが見てわかる。時々親がエサを咥えないで戻ってくることがある、巣立ちを促しているのだろうか、にも関わらず雛は「エサくれ〜!」と口を開け待ってる、しかし親は知らんぷり。
某月某日
早朝の5時ごろついに巣立った。空っぽの家はただ風にさらされて、ずっと見ていたものには哀愁を感じさせられる。今晩からどこで夜露を凌いでるのだろう。兄弟そろって一人前の若鳥になることを祈らずにはいられなかった。
写真と文 奥田 信一
( やっぱり怪しい探検隊員こと町のクマさん。)
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